映画『アゲイン 28年目の甲子園』製作宣伝日誌
映画『アゲイン 28年目の甲子園』
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01野球に臨む親父たち

大森監督は「人間ドラマをきちんと描く」という確固たる意志で中井貴一にラブコールを送り続け、中井もそれを受け止めて出演を快諾したが、やはり肝になる野球のシーンに嘘はつけない。中井自ら「きちんと練習してから撮影する」ことを条件にしたほど、野球未経験ながら真摯に向き合った。「この歳になってはじめてノックを受けました」と笑うが、8月の炎天下のなかドロドロになりながらも特訓する姿に、野球指導の大石滋昭も「ここまで努力される中井さんにこそ演じてほしい」と感激。飲み込みも抜群に早く、一緒に練習する監督やスタッフ陣がついていけないほどに上達。高校野球は未経験ながらも、草野球チームを率いる柳葉敏郎も合同練習から合流し、「野球映画に出られたので死んでもいいっす!」と硬球の感触を確かめながらの調整。そんな現役プレーヤー、また強豪校出身者も数多くいる他俳優陣に混ざってもまったく違和感のない元高校球児が、人生のグラウンドに帰ってきた。

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02注目の若手俳優、熱い演技

中年たちが主人公と言える作品のなかで、いま一気に注目度を高めている若手俳優陣もまばゆいばかりの煌めきを放っている。

元チームメイトの娘で、物語を動かす女子大生・美枝に扮するのは波瑠。「BORDER」で好評を博したツンとしてクールビューティーなキャラクターから一転、大会の運営を積極的に手伝う学生へ。感情があふれることも多く、複雑な過去を抱え人との距離感をうまくつかめずにいる向こう見ずな一面が、皆が目を背けてきた心の奥底を刺激するという難しい役どころへの挑戦。父親世代に、つまりベテラン俳優陣の中に1人飛び込むことになるため、クランクイン直後は「中井さんをはじめ皆さんについていくことで必死」とも話していたが、彼女自身が周囲と共鳴していくことが徐々に”仲間”となっていく物語と重なり、作品世界に若く新しい息吹をもたらした。撮影全体のクランクアップともなったキャッチボールで見せた笑顔は等身大の魅力にあふれていた。

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甲子園の夢を断たれる高校球児を演じたのは、「ルーズヴェルト・ゲーム」で一躍スターダムを駆け上り、いま日本中の注目を集めている工藤阿須加。

2013年暮れの撮影ということで野球未経験で挑んだものの、いきなりブン!!と音をたててバットを振りだし「やはり血は争えない・・・!」とその場にいた誰もが、父・工藤公康のDNAを見た。中井貴一が扮する坂町、その28年前を演じるとあって中井本人に直接アドバイスをもらいにいく姿も目立ち、大森監督も「器用に芝居をやろうとするのではなく身体で役になりきろうとする。現場が好きだというのが言動や態度から感じられて、周りからも愛されている」と絶賛。多彩な表現と演技力に定評のある太賀と若き才能をぶつけ合わせ、浜辺を全力疾走しもみ合う場面は爽やかな男の青春の理想像ともいうべき名シーンを作り上げた。

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『愛の渦』でセンセーショナルな役柄を演じきって話題を集めた門脇麦も、中井相手にもその独特の雰囲気を十二分に発揮しながら渡り合っており、彼らのあふれんばかりの瑞々しさが作品の爽やかな感触をふくらませてくれている。

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03こだわりの撮影技法

「ロールチェンジしまーす!!」
聞き慣れたはずの、それでいて新鮮な掛け声が撮影現場に響く。時代が移り変わり、世の中がアナログからデジタルへと変遷していくなかで、映画の撮影現場から姿を消しつつあるものの1つが”フィルム”である。

その質感により人間ドラマがいっそう味わい深さを増し、しなやかで流れるような野球独特の動きの美しさを最大限表現するために、本作は全編にわたってフィルムを使用して撮影された。いつしか聞こえなくなっていたフィルムを交換するこの掛け声を、長年映画に携わってきたキャスト・スタッフたちは嬉々として懐かしみ、中井貴一も「じっくりした撮影が減ってしまっている時代の中で、すごく良い雰囲気を現場が作ってくれているので、すんなり入れた」と歓迎。また若手も貴重な経験に高ぶりを覚えている様子だった。

野球のプレーでは、CGや吹き替えに頼ることなく実際の迫力を見せきりたい大森監督の強い信念の下、俳優陣はみな満身創痍になりながらも、その腕で、その体で、ボールを投げ込みバットを振り抜いた。ダイビングキャッチ、ホームラン、ダブルプレー・・・その一瞬に関わるすべての役者が全力のプレーを行いながら、撮影スタッフとも息を合わせなくてはならず、普段の映画撮影とは一味違う苦労が絶えない。大森監督のこだわり、その想いを支える撮影監督・佐光朗の腕の見せ所でもある。難しいプレーが見事に決まっていくと「オッケー!!」の一声にも力が入り、撮影の最終盤には甲子園球場でのロケが控えていたため、さながら甲子園を目指す疑似体験を共にすることで、”チーム・アゲイン”は日に日に一体感を深めていった。

そうして迎えた甲子園球場のロケでは、細かなカットを積み上げる撮影が行われ、どこか幻覚のような印象すら感じる仕上がりのその映像は物語のクライマックスで28年の時を超える至福の瞬間をより輝かせてくれる。

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04ロケ地

【埼玉各地】高橋の自宅は、川越ココロマチの一角。激高する芝居が多く、ヒートアップするアドリブに周辺住民が「本当に何かあったのでは?」と勘違いしないかとヒヤヒヤ。“小江戸”として親しまれている川越・時の鐘では泣きながら飛び出した美枝を坂町が追いかけ引き止めるロングカットを、商店街全体を使い撮影。裕子の登場、そして埼玉県大会決勝戦は越谷市民球場にて。周囲には、越谷名物?とも言うべき、ヨーロッパ風で外観の豪華な建築物も散見。

【石巻】ノリの地元・東北まで追いかけてきた坂町、2人が全力疾走するのは東松島の浜辺。坂町と美枝がノリの墓参りをするシーンは見晴らしの良い丘の上に立つ墓地で、その奥に見える景色は穏やかな海岸線から一面のサラ地が広がる。中井は「忘れてはいけない。伝えていかなくては」と噛みしめる。実際にいまも人々が生活している仮設住宅でお昼ご飯をふるまってくれたのは、あの日津波に流されながらも瓦礫につかまり助け出された女性。撮影隊の訪問を心底喜んでいた。

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【神戸大学】マスターズ甲子園発祥の地とも言うべき神戸大学発達科学部のグラウンドにて、本編でもラストシーンとなるキャッチボールの撮影をもってクランクアップをむかえた。

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05物語を彩る音楽たち

その日、キャスト・スタッフ一同は甲子園球場での撮影に湧き上がる興奮を抑えきれないでいた。いよいよ聖地へ足を踏み入れる、それ以外に実は理由がもう1つ。主題歌を担当する浜田省吾が現場を訪問するというのである。グラウンドに降り立った浜田は、中井、大森監督らと固い握手を交わすと、目の前で行われていく撮影を静かに力強く見守っていた。翌日がクランクアップだと知ると、1か月間に及ぶ過酷な撮影を乗り越えたキャスト・スタッフ一同への労いにと、甘味の差し入れ、飾らないまっすぐな言葉で綴られた直筆の手紙を携えて、神戸大学での撮影にも急遽訪れた。

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自身も高校球児だった浜田。自らがサポートする大会が映画になり、甲子園球場で撮影が進み、まさにクランクアップをむかえるその光景に何を見ていたのだろう。10年ぶりに書き下ろされた新曲は、それからほどなくして完成した。
本作の音楽は、浜田省吾のバックバンドやツアーメンバーとしても活躍し、アルバムプロデュースもするなど親交の深い梁邦彦が担当。2014年のソチ五輪閉会式では2018年平昌五輪PRセレモニーの音楽監督を務めた。浜田省吾×梁邦彦の名コンビによるこれ以上ない音楽によって、作品の感動はより心地よく観客へと届けられる。

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06元高校球児たちと聖地・甲子園球場

阪神甲子園球場。そこが特別な空間であることは誰もが知るところだが、とりわけ高校時代の青春を野球にささげた人間にとっては永遠の聖地であり、本作には実際に夢に近づきながらも涙を飲んだ男たちが多数参加している。新潟県ベスト16の村木仁は1歩足を踏み入れた瞬間に感極まり「いかんいかん、仕事しなきゃ」と目を赤くしながらおどけて見せ、神奈川県ベスト4の西岡德馬は「ここに来たくてさあ。負けた時は大泣きしたよ」と感慨深げに振り返った。新たな仲間とたどり着いた甲子園はまた格別の想いが込み上げていたようだ。

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また、埼玉県大会決勝で当たることになる因縁の相手・所沢工業のエースに扮するのは、伊藤毅。2003年、桐生第一高等学校のエースとして夏の甲子園ベスト4に進出するなど、同い歳のダルビッシュ有と並ぶ注目選手として甲子園を大いに沸かせた。

そして、浜田省吾。彼もまた元高校球児。この場所に夢を馳せた者の1人として、万感の思いを込めて歌う主題歌が本作に優しく力を添えてくれている。

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07元プロ野球選手も出演!

高校野球への夢を追った男たちの熱い物語に、プロ野球界からも強力な陣容が顔を揃える。

元巨人軍・角盈男は、中井演じる坂町の上司役。現役時代の豪快な印象にもぴったり重なる存在感を発揮している。川越学院野球部の現・監督に扮したのは高橋慶彦。

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ユニフォーム姿には渋みを増しつつ彼らしい精悍な佇まいは健在で、空き時間には、ロケに協力してくれたエキストラの野球部員たちにノックをつける一幕も。実際にノックを受けている高校生は高橋の現役時代を知らない為、野球部コーチ陣や現場の大人たちばかりが羨ましそうに目をキラキラさせていた。

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1月17日(土)Roadshow

©重松清/集英社©2015「アゲイン」製作委員会

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